精神医学

 

精神医学/精神・行動医学

大久保 善朗 大学院教授

卒前教育

精神医学の体系の中には、患者の精神状態を捉えるための診断技術や支持・共感を通じて患者との関係性を深め、患者の自己回復力を高めるための治療技術がある。こうした技術は医師-患者関係を構築し、治療を円滑に進めていく上で必須のものであり、精神科医療においてのみ有益なものではなく、医療の基礎として医療に携わるすべての者が習得しておくべきものである。

卒前教育においては、4年次までの系統講義において精神医学における基本的な考え方と精神疾患に関する基礎的な知識を習得する。5年次の臨床実習(BSL)は、先に述べた医師-患者関係構築に必須となる診療技術の習得を主たる目的とし、2週間実際の診療グループに入り指導医の指導の下で直接患者の診療に当たる。さらにBSLにおいてはロールプレイを通じた診療技術のトレーニングも併せて行っている。

精神科医療は薬物療法や電気けいれん療法のような生物学的治療に加え、一般に「カウンセリング」と呼ばれる精神療法やリハビリテーションとしての作業療法、生活環境を整え患者の抱える社会的問題を解決に向けるケースワーク等心理社会的治療の果たす役割が非常に大きい。実際精神科医療においては医師以外の専門職種が果たす役割が大きく、常にチーム医療や地域連携を意識しながら診療を行うことになる。医学生が卒前教育において精神医学・精神科医療に触れることで、単に診療技術を高めることだけにとどまらず、患者を多角的かつ全人的に捉える視点を身につけることに大きく役立つと考えている。

 

卒後教育

現在の臨床研修制度において精神科は選択必修科目であり、2年間の初期研修の中で精神科を選択した研修医に対しては、診療グループの一員として診療に当たりながら卒前教育で習得した種々の精神医学的診療技術や視点を深化させることを目指す。

専修医として当教室での後期臨床研修を開始した医師に対しては、優れた臨床精神科医を育成するという目標の下、教室の伝統に則り、生物学的精神医学の立場を堅持しつつ、生物-心理-社会各側面から包括的に精神疾患を理解しうる精神科医となるよう教育を行っている。

加えて、ここ10年で精神科医療はこれまでの入院・慢性期医療中心から地域生活・急性期医療中心に大きく転換し、精神医学が対象とする疾患も慢性期の統合失調症から気分障害や認知症に比重が移りつつある。こうした変化の中で、当教室では新しい精神科医療に対応でき、さらに先の10年においても第一線で活躍できる臨床精神科医を育成することも意識している。具体的には、当教室の得意領域を生かす形で、現在の精神医学・精神科医療において極めて先進性が高く社会的ニーズも高いが専門的人材が不足している児童思春期精神医学、老年精神医学、精神科救急・合併症医療等をsubspecialtyとして習得できるよう専門病院での研修も含めた研修プログラムを用意している。

後期臨床研修を通じて精神保健指定医、精神科専門医、その他各subspecialtyに合わせた専門医・認定医の取得が可能である。また、希望に応じて大学院医学研究科へ進学し、高度な研究に従事することも選択できる。

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