医学部長のご挨拶

 

 

医学部長

水野 杏一 

 

内科学講座(循環器・肝臓・老年・総合病態部門) 主任教授
付属病院 循環器内科部長

 


医療の普遍性
 日本医科大学は1876年に長谷川泰によって創設された済生学舎を前身とし、創立135年を超える我が国最古の私立医科大学です。その建学の精神は「済世救民」「克己殉公」であり、己の欲望を捨て、貧しく病で苦しむ人々を救う事を高らかに揚げています。
くしくも大阪大学医学部の前身である適塾を創設した緒方洪庵はその著書「扶氏医戒之略」の中で、「医の世に生活するは人の為のみ、ただ己を捨てて人を救わん事を願うべし」と述べており、日本医科大学の建学の精神と同じであります。ともに医療人として、患者さん側に立つという当然の使命感を原点としています。この使命感は、時代の変化を経て今なお変わらない普遍的な医療人の姿勢として、今後も将来を担う医学生達に誇りを持って受け継がれていくものと期待されます。医師、医療の倫理観はこの様な現場から培われていくと考えています。

 

教育の普遍性
 教育とは価値あるものの伝達であり、特に治療技術が必要な分野はこれに当てはまります。一方、最近の医学の目を見張る進歩と社会の医療へのニーズの変化に伴い、医学生が学習すべきものが変わってきています。最新の知識を詰め込んで卒業したとしても、卒後日進月歩の医学と医療の世界では取り残されてしまいます。某哲学者が最高の教育とは「自ら学ぶ事を学ばせる事である」と述べています。まさにその通りで、自分から学び、自ら考え、自ら未知の問題を解決する能力を獲得する能動的な姿勢を日本医科大学では学んで頂きます。この能力は、生涯医療人として役に立つと信じています。教育とは「その人の能力を伸ばす」事である点を肝に銘じ、日本医科大学では教員のみならず、全職員が学生の教育を担っています。


研究の普遍性
 日本医科大学の教育理念は「愛と研究心を有する質の高い医師、医学者の育成」とうたっている様に、国際性に富む、才能ある研究者を育成しています。前身の済生学舎を含め日本医科大学は、細菌学者の野口英世、東京女子医科大学創立者の吉岡弥生、ジョン・F・ケネディ、ロバート・ケネディを検死した米国ロサンゼルス郡検死局長のトーマス野口、丸山ワクチンを開発した丸山千里など著名な研究者、学者を輩出しています。3度ノーベル賞候補にあがった野口英世は、黄熱病の病原体を特定、ワクチンを作成し黄熱病を収束させました。研究者の発見が、何百万、何千万の患者さんを救う事になります。患者さんを診療する事と同様に、研究する事も世に役立ちます。研究の最終的成果は、病める人々を救済する事です。
日本医科大学は、古い伝統のうえに新しい事に挑戦する大学でありたいと思っています。